タンパク質の形を通して学ぶ「遺伝情報とは」

シーラカンス

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 2013年7月19日のプレスリリースから引用させていただきます。詳しく知りたい方は以下をご覧ください
   https://www.nig.ac.jp/nig/images/research_highlights/PR20130723.pdf

 生きた化石と呼ばれている希少種シーラカンスの全ゲノム配列(約27億塩基対)の決定に、東京工業大学、国立遺伝学研究所、東京大学などの研究チームが成功し ました。今回、研究チームは、タンザニア産3頭、コモロ産とインドネシア産のそれぞれ1頭のシーラカンス(現存する全2種を網羅)について全ゲノム配列を決定 し、大規模な比較ゲノム解析を実施しました。特に、四肢形成や嗅覚に関連する遺伝子について詳しく調べたところ、シーラカンスは水中で生息する魚類であるにも 関わらず、そのゲノム中には陸生の四足動物(カエルや哺乳類など)に特徴的な遺伝子がすでに数多く存在していることが明らかになりました。これは、かつて水中 に生息していた四足動物の祖先となる魚類が徐々に陸上化を遂げていくにあたり、ゲノムレベルではどのような変化が起きていたのかを知るための重要なてがかりを 与えるものと考えられます。また、シーラカンスの遺伝的多様性が極めて低いことも明らかとなり、この希少種の絶滅回避に向けた本格的な保全活動が急務であるこ とが示されました。

 他の魚類や陸上の脊椎動物と比較して、シーラカンスは全ての遺伝子において変異の数が少なく、進化速度が極めて遅いことが明らかとなっています(下図)。シー ラカンスが、「生きた化石」と呼ばれるように、進化の過程においてその形態をほとんど変えていないことの原因の1つが、この進化速度の遅さにあると考えられま すが、なぜ遅いかは今後の研究が待たれるところです。

 本研究の成果は米科学誌「Genome Research」7 月 22 日号に掲載されます。


中立説によれば、系統樹の枝の長さは種が分岐した後の時間を表し、塩基の変異数に比例します。
したがって、それを基にして系統樹を描くと、右端の現存する生物はほぼ縦1列に揃うはずですが、
シーラカンスだけ極端に左にずれています。塩基の変異数が、他の枝に比べ、極端に小さいためです。