地球の空気には約20%の酸素が含まれています。しかし、他の惑星の大気成分は二酸化炭素が大部分で、酸素はほとんど存在していません。研究の結果、誕生時の地球大気も 他 の 惑星と同様に、大部分が二酸化炭素だったことがわかってきました。その後、地球には海洋が誕生し、水中で生命が誕生したため、空気の主成分が二酸化炭素から窒素 と酸素へと変遷していきます。
空気中の酸素は、主として、水中に存在するようになった緑色植物の光合成によって作られました。そして、酸素が存在するようになる と、太陽光の紫外線の作用によってオゾンもつくられるようになります。ちなみにオゾンとは、酸素原子が3つ化学結合した化合物です。こうして生成されたオゾンは、地表から 10〜50q上空の成層圏に集まり、オゾン層を形成します。
オゾン層では、オゾンが一定のバランスを保ちながら常に分解や生成を繰り返しており、分解には紫外線のエネルギーが使われています。つまり、オゾン層は、 オゾンの分解や生成を繰り返すことで生物にとって有害な紫外線であるUVCの全部とUVBの一部を吸収し、地上の生物を守っているのです。
下図は、地球の歴史とともにオゾンが増加してきた様子を表しています。
地球の誕生は約46億年前で、地球上に生物が誕生したのは約38億年前と推定されています。当時、生物の生息場所は海の中でした。太陽からの紫外線は、 UVA、UVB、UVC、すべて地上に降り注いでおり、生物を有害な太陽紫外線から守ってくれるのは水だけでした。しかし、その後光合成を行う緑色水中生物に よってつく られた酸素が少しずつ空気中に沁み出し、今から約4億2千年前頃には、空気中の酸素濃度は現在の10分の1程度まで増え、現在とあまりかわらないオゾン層が地 球を覆うようになります。こうして、地表面も有害な紫外線から守られる環境になり、初めて生物は地上へとその存在範囲を広げることが可能になったのです。
したがって、オゾン層の破壊が生命系にとっていかに深刻な問題を引き起こす可能性があるかがわかっていただけると思います。