タンパク質の形を通して学ぶ「遺伝情報とは」

遺伝子のエクソン-イントロン構造

トップページタンパク 質の形を通し て学ぶ「遺伝情報とは」体液性免疫 > 遺伝子のエクソン−イントロン構造

 遺伝子とは、DNA上でタンパク質をコードしている領域、すなわち開始コドンから終止コドンまでをいいます。しかしその間の塩基配列のすべてがアミノ酸配列に対応してい るわけでもないのです。アミノ酸配列には対応せず、読み飛ばされる領域があるのです。1つの遺伝子領域のなかで、アミノ酸配列に対応する部分をエクソン、読み 飛ばされる部分をイントロンとよびます。図1にミオグロビンというタンパク質をコードしているDNA領域の塩基配列を示しました。3つのエクソン(青字と赤字 の塩基)と2つのイントロン(黒字の塩基)からなりますが、イントロンの方がはるかに長いのがわかります。


図1 ミオグロビン遺伝子の塩基配列。左端の数字は、その行の最初の塩基の通し番号を示しています。
 イントロン2の841〜1380の塩基配列は省略されています。見やすいように10塩基ごとにスペースを入れて表示しています。

 図2に示したように、遺伝子が転写されるときには、イントロンを含み、そのままmRNAに転写され、その後スプライシングによってイントロンがとり除かれ、成熟型 mRNAがつくられます。 これに対して、B細胞では、DNAのレベルで遺伝子の再構成が行われます。H鎖では、V、D、Jそれぞれのエクソンに対して複数の候補から1つずつ選び、L鎖 についてもV、Jそれぞれのエクソンに対して複数の候補から1つずつ選び、それ以外のエクソンは切り出して捨てることで、選ばれたエクソンだけを結合するとい うDNA内の再構成を行います(図23.3)。親から譲り受けたDNAそのものを変えてしまうのです。これがB細胞ごとにランダムに行われるわけです。


図2 エクソン‐イントロン構造をもったDNAからの転写・翻訳